唄ってはいけない!?奄美に伝わる「かんつめ節」

不思議なお話~神社・お寺・怪談etc~

南の島の唄というと沖縄を思い浮かべると思う。

紹介する話は奄美大島で語り継がれている唄うと

女性の霊が現れるという地元で今現在も信じられている話である。

かんつめ節

奄美大島は年中温暖な気候に包まれ九州でありながら
沖縄文化も取り入れた観光地としても非常に人気が高い。

この島にはかんつめ節という民謡がある。

ある文献には
「かんつめ節は今でも唄わぬ。唄えば例の女がやってくる」
との記録が残されている。

”かんつめ”とは1790年代に実在した女性の名前である。
非常に美しく気配りも出来て働きものであったそうだ。

しかし家がとても貧しくお金持ちの家に住み込みで働いていた。

この家の主は好色で美しい”かんつめ”に何度言い寄っていたという。
「奥さんがいらっしゃいますし・・・」と毎度うまく躱していた。

しかし家の奥さんは美しい”かんつめ”を非常に妬ましく思っており
毎日のようにいびっていた。

そのような日々で次第にストレス過多で気持ちも落ちていた。

そんな中主の家に出入りしていた役人と顔を合わせるうちに
恋心を抱くようになった。

何度か会っていくうちに交際に発展した。

主がかんつめに言い寄っていることもあり、村境にある山の上で
ひっそりと会っていた。

しかしその時間が過ぎれば仕事中には主が言い寄ってくること
そして奥さんのイビりが待ち受けている。

楽しい時間はあっという間に過ぎ、ストレスを感じる時間は長い。
そういったことでどんどん精神が崩壊していく。

見かねた役人である彼はかんつめとその家から逃げようと駆け落ちする。

しかし村の権力者である主から逃げられずすぐに捉えられてしまった。
牢に監禁され主と奥さんからひどい折檻を受けた。

そこ頃役人の男性は逃げたことを知らなかった。
いつもの村境の山で”かんつめ”を待っていたが
その日はなかなか来ない。

どうしたものかと思っていたころ遅れてかんつめが現れた。
楽しい時間を一緒に過ごし別れる際にいつもとは違った印象を受けた。

山から下りた際に不穏な感覚が走り再度小屋に戻ると
傷だらけでボロボロになったかんつめが首をつっていたのだ。

その日から務めていた家でかんつめと思しき女性の霊が
たびたび目撃されるようになる。

最初は夜中だけであったが、昼間までも目撃されるようになった。
そこ頃から家のものは変死を繰り返す。

そしてこの家の一族の血脈は途絶えてしまう。

”かんつめ”の恨みはそれだけには留まらない。
滅んだ一族の家は取り壊され土地は別の人が購入した。

その地では見も知らない子供が変死していたり
奇妙な事象が度々発生していた。

その非業の死を遂げた”かんつめ”という女性を唄った歌が
「かんつめ節」というのだ。

そしてこの「かんつめ節」を唄うと折檻され
ボロボロになった”かんつめ”がやってくると
今現在でも奄美大島では信じられている。

かんつめ節と要約

「かんつめ節」
  夕(ゆ)びがでぃ遊(あすぃ)だる かんてぃむぃ姉小(あごくゎ)
   明日(あちゃ)が宵(よね)なれば 後生(ごしょう)が道に御袖振りゅり
※訳
   昨夜まで一緒に遊んだ”かんつめ”姉ちゃん
   翌日の夜になれば、黄泉への道で袖を振っている
 
この歌は黄泉の国から”かんつめ”を呼び寄せるという言い伝えがある。

”袖を振る”とは別れを惜しんだり、愛情を示したりするという意味である。

しかし個人的には唄った人に”かんつめ”自体が”袖を振る”
つまりは愛情を示すということと考えられる。

そして”黄泉の道”で・・・

かんつめが黄泉の道へ誘っているようには感じられないだろうか?

つまりは歌ったものは”かんつめ”に連れていかれるとも捉えられる。
果たして最初に作ったものは”かんつめ”に連れていかれたのだろうか?

コメント

タイトルとURLをコピーしました